※ 本記事は一般的な考え方の紹介であり、実際の費用は個体・地域・飼育環境によって異なります。特定の商品・サービスの加入を推奨するものではありません。
「犬や猫を飼うと生涯で数百万円かかる」という話は聞いたことがあっても、具体的に何にいくらかかっているのかまで把握している人は多くありません。総額だけを見て不安になるより、内訳を分けて考えた方が、自分の場合にいくらかかるかが見えてきます。
生涯費用の目安
各種調査では、犬の生涯費用はおよそ250万〜300万円台、猫はおよそ150万〜260万円台という数字が報告されています。差が大きいのは、犬種・体格・飼育年数・地域によって食費や医療費が大きく変わるためです。この総額は主に次の4つで構成されています。
- お迎え費用・初期グッズ — ペットショップ・ブリーダー・保護団体などお迎え方法によって数万円〜数十万円と幅が大きい
- 月々の生活費 — フード・トイレ用品・シャンプー・トリミングなど(医療費・保険料を除く)
- 医療費 — 予防接種・健康診断に加え、病気やケガの診療費
- 保険料(加入する場合のみ)
このうち①②は比較的見積もりやすい一方、③の医療費は年齢や個体によって大きくばらつくため、総額を左右する最大の不確定要素になります。
医療費は年齢とともに増えていく
アニコム損保「家庭どうぶつ白書2025」の年齢別診療費データによると、犬・猫とも若いうちは診療費が低く抑えられる一方、シニア期に近づくほど通院・手術の頻度が上がり、年間の診療費も右肩上がりに増えていきます。つまり生涯費用の多くは、飼育期間の後半に偏って発生する計算になります。若いうちの費用感だけで生涯費用を見積もると、実際の総額を過小評価してしまう点には注意が必要です。
保険に入ると総額はどう変わるか
ペット保険に入ると、医療費が発生したときの自己負担は減りますが、代わりに毎月の保険料という固定費が上乗せされます。ペット保険は本当に必要?公的保障がないからこそ考えたい判断軸で解説した通り、保険料の総額の期待値は受け取れる給付金の期待値を上回る設計が一般的なので、「保険に入った方が生涯費用の総額は安くなる」とは限りません。総額だけを見れば保険なしの方が安く済むケースの方が多く、保険の価値は総額の損得ではなく「高額な診療費が発生したときに家計が耐えられるか」という備えの面で考えるものです。
犬種・猫種、飼育年数でも変わる
大型犬は小型犬より食費・医療費とも高くなりやすく、猫は屋外に出さない室内飼いが中心のため、犬に比べると生涯費用が抑えられる傾向があります。また、同じ犬種・猫種でも、平均寿命まで飼育する年数が長いほど、月々の生活費と医療費の積み上げ分だけ総額は大きくなります。お迎えする年齢が若いほど、生涯にわたって費用がかかる期間も長くなる点は、初期費用の安さだけで判断すると見落としがちです。
総額のうち、自分でコントロールできる部分・できない部分
生涯費用の内訳のうち、フードのグレードやトリミングの頻度、ペット用品の選び方といった生活費部分は、ある程度自分の意思でコントロールできます。一方、病気やケガによる医療費は個体差が大きく、事前に完全にコントロールすることはできません。だからこそ、総額を見積もる際は「生活費は自分の想定額」「医療費は年齢別の期待値」という2つの前提を分けて考えると、どこまでが自分で調整できる部分かが見えやすくなります。予防接種やフィラリア予防など、定期的な予防医療への支出は、結果として突発的な高額診療費のリスクを下げる効果も期待できます。
「平均」より自分の条件で見る理由
ここまで紹介した250万〜300万円台といった数字は、あくまで全体の平均です。実際には、お迎え費用をかけたかどうか、フードや日用品にどこまでお金をかけるか、そして何歳から何年飼育するかによって、同じ犬種・猫種でも総額は大きく変わります。平均値だけを見て「うちも同じくらいかかりそう」と考えるより、自分が想定する条件を入力して試算した方が、実際の家計計画には役立ちます。
自分の場合の総額を試算してみる
犬種・猫種、現在の年齢、お迎え費用、月々の生活費を入力すると、アニコム損保の年齢別診療費データをもとに、これから先の生涯費用の総額を試算できます。保険に入る場合と入らない場合の総額を並べて比較することもできます。
参考にした情報
- アニコム損保「家庭どうぶつ白書2025」(年齢別診療費、犬・猫の平均寿命)
- 一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」(犬・猫の生涯費用の目安)