※ 本記事は一般的な考え方の紹介です。実際の費用は献立・人数・利用するサービスによって異なります。

「ミールキットは自炊より割高」というイメージを持つ人は多いはずです。 たしかに、1食あたりの食材費だけを比べると、ミールキットの方が高くつくことがほとんどです。 ですが、それは比較の半分でしかありません。

見落としがちなコスト: 調理にかかる時間そのものの価値

自炊には食材費だけでなく、買い物・下ごしらえ・調理・後片付けという時間のコストがかかっています。 総務省「令和3年社会生活基本調査」によると、食事の管理(調理・後片付け等)にかける1日あたりの時間は、 男性が平均14分であるのに対し、女性は平均1時間18分と大きな差があります。仮に女性の平均に近い水準で 毎日調理をしているとすると、週あたりでは9時間前後にのぼる計算になります。

この時間を「自分の時間の価値(時給換算)」で金額に置き換えると、自炊の実質コストは食材費だけで見たときより 大きく変わります。ミールキットは材料が下ごしらえ済みで届くため、この時間の多くを削減できるのが本来の価値です。

食材費の比較も「1人あたり」で見る

総務省「家計調査」(2025年)によると、1人あたりの食費(月額)は単身世帯で約44,659円、 2人世帯で約39,670円(世帯計79,340円の折半)、4人世帯で約25,846円(世帯計103,384円の4分の1)が目安とされています。 世帯人数が増えるほど1人あたりの食費が下がる傾向があり、まとめ買いの効率化が影響していると考えられます。 ミールキットの1食あたり価格をこの「1人あたり食費」と比べる際は、世帯人数によって基準が変わる点に注意が必要です。

使い切れずに捨ててしまう食材のコスト

自炊では、レシピのために買った食材の一部が使い切れず、傷んで廃棄になることがあります。 ミールキットは1回分の分量がぴったり届くため、この「使い切れなかった分」のロスが構造的に発生しにくいという側面もあります。 ただし金額としてどれくらいの差になるかは家庭によって差が大きいため、本記事の試算には含めていません。

見落としがちなもう一つのコスト:「献立を考える」負担

自炊の負担は、買い物や調理そのものだけではありません。「今日は何を作るか」を毎日考えること自体が、 無視できない精神的な負担になっている人は多いはずです。栄養バランスを考えながら、飽きないように 献立を組み立てる作業は、調理時間には現れない見えないコストです。ミールキットは献立自体が セットで届くため、この「決める」負担そのものが減るという価値があります。逆に、料理を考えること自体が 気分転換になっている人にとっては、このコストはそもそも負担ではありません。

どちらが向いているか:判断の分かれ目

自炊が向くミールキットが向く
時間の余裕買い物・調理にかけられる時間がある平日は特に調理にかけられる時間が少ない
料理への意識献立を考えること自体が苦にならない、むしろ楽しい毎日の献立決めが負担に感じる
世帯構成まとめ買い・作り置きがしやすい人数がいる単身〜少人数で、まとめ買いの効率化が効きにくい

金額だけで見ると自炊が有利に見えやすいですが、上の表のように時間や精神的な負担への感じ方は人によって違うため、同じ世帯人数・同じ食費水準でも「向き」は変わります。

総額で比較する

食材費だけでなく、調理時間の価値まで含めた総額で比較すると、 「1食あたりは高く見えるのに、時間まで含めると自炊とそこまで変わらない」という結果になることがあります。 逆に、時間の価値を低く見積もれば、自炊の方が引き続き安くなるケースも当然あります。 大切なのは、どちらが正解と決めつけず、自分の時間の価値を入れた上で数字を確認することです。

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参考にした情報

  • 総務省「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」
  • 総務省「家計調査」(2025年、家計収支編)